相続手続きQ&A

相続手続きについてよくある質問のQ&A

相続手続きQ&A

相続手続きに関する疑問等をQ&Aでまとめています。

  1. 私の夫は再婚をしていて前妻との間に子Aがいます。離婚したときに前妻が子Aの親権者になりました。親権者でない夫が死亡した場合でも子Aは相続人になるのですか?
  2. 被相続人と私は夫婦なのですが、私は前の配偶者との間の子Aを連れて被相続人と再婚しました。その後、被相続人と私の間に子Bが生まれました。連れ子である子Aは相続人になれますか?
  3. 私は配偶者の親と養子縁組をしているのですが、最近実の親が死亡しました。養子縁組をしていても実の親の相続人になれますか?
  4. 被相続人には配偶者が居るのですが、長年別居していて連絡先も分かりません。長年別居している配偶者でも相続人になりますか?
  5. 私は被相続人からみて義理の娘で介護をずっとしてきたのですが、遺産を相続することはできますか?
  6. 長年介護や生活の世話をしていた知人が亡くなりました。知人には身寄りがなく相続人になる人もいないようなのですが、どうすればいいですか?
  7. 平成20年に作成された自筆証書遺言と平成18年に作成された公正証書遺言が出てきたのですが、どちらが有効なのですか?
  8. 封がしていない封筒に入った自筆証書遺言が出てきたのですが、この場合でも検認が必要ですか?
  9. 兄は30年前に事業を始めるときに被相続人から500万円の援助を受けているのですが、特別受益の金額は援助を受けた当時の金額になるのですか?
  10. 遺産は遺言書がなければ法定相続分どおりに分割しなければいけないのですか?
  11. 遺言書に「子三人にそれぞれ全財産の3分の1ずつ相続させる」と書いているのですが、この場合は誰がどの遺産を相続すればいいのですか?
  12. 相続放棄の手続きをした後で財産があることが分かったのですが、相続することはできますか?
  13. 遺産分割協議書は必ず作成しなければいけませんか?
  14. 預貯金の相続手続きは窓口に行けばすぐに終わるのですか?
  15. 不動産の相続手続きに期限はありますか?
  16. 遺産分割について調停を行うときは弁護士に依頼しなければいけませんか?
  17. 相続人の中で相続放棄をした人がいる場合、相続税の基礎控除はどうなりますか?
  18. 実際に相続する相続財産と、相続税を計算するときの相続財産は違うことがあると聞いたのですが本当ですか?
  19. 相続税を計算するときの不動産の価格は固定資産の評価額で良いのでしょうか?
  20. 相続財産の合計が基礎控除の範囲内で収まるのですが、この場合でも10ヶ月以内に何か手続きをしなければいけませんか?

Q1.私の夫は再婚をしていて前妻との間に子Aがいます。離婚したときに前妻が子Aの親権者になりました。親権者でない夫が死亡した場合でも子Aは相続人になるのですか?
A1.なります。
離婚によって親子関係が終わるわけではないので、前の配偶者との子であったとしても子Aは「被相続人の子」として相続人になります。親権者であったかどうか(あるかどうか)は関係ありません。ただし、法定相続分や遺留分はあなたとの間の子の2分の1になります。
Q2.私は一度離婚した後、今の夫と知り合い再婚したのですが、私には前の夫との間の子Aがいました。その後、夫と私の間に子Bが生まれ、最近になって夫が死亡しました。連れ子である子Aは相続人になれますか?
A2.なれません。
質問の場合、ご主人とあなたの連れ子Aが本当の親子のように生活をしていたとしても、法律上の親子関係はないので子Aはご主人の相続人になれません。ご主人の生前に子Aと養子縁組をしておくか、ご主人が子Aに遺産を相続させる旨の遺言書を作成しておくかしていれば、連れ子であっても遺産を相続することができます。
Q3.私は配偶者の親と養子縁組をしているのですが、最近実の親が死亡しました。養子縁組をしていても実の親の相続人になれますか?
A3.普通養子縁組であればなれます。
養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。一般的に行われる普通養子縁組であれば、養子縁組をしても実の親との親子関係が終わることはないので、相続人になります。特別養子縁組だと養子縁組をするときに実の親と法律上の親子関係が終わるので、相続人になれません。
Q4.被相続人には配偶者が居るのですが、長年別居していて連絡先も分かりません。長年別居している配偶者でも相続人になりますか?
A4.なります。
法律上の夫婦関係がある限り配偶者は相続人になります。長年別居していたり、夫婦関係が破綻していて愛人と生活しているような状態であっても関係ありません。逆にいくら事実上夫婦のように生活をしていても、籍に入っていない場合は配偶者として相続をすることができません。
Q5.私は被相続人からみて義理の娘で介護をずっとしてきたのですが、遺産を相続することはできますか?
A5.できません。
被相続人の義理の子(息子の妻や娘の夫)は、被相続人と法律上の親子関係がないので他の誰より介護等をしたとしても相続権はありません。介護等に対する寄与分も義理の子には認められません。ただし、被相続人と養子縁組をしていれば養子として遺産を相続することができ、遺産分割のときには寄与分も主張することができます。  
Q6.長年介護や生活の世話をしていた知人が亡くなりました。知人には身寄りがなく相続人になる人もいないようなのですが、どうすればいいですか?
A6.相続人不存在の手続きや特別縁故者の財産分与請求などをします。
被相続人に相続人がいない場合、遺産は最終的に国のものになります。ただし、これは自動的に国のものになるわけではなく、様々な手続きが必要です。ただ、質問の場合は質問者が介護等をしていたようなので、特別縁故者に該当し遺産の分与が認められる可能性があります(詳細は「相続人が誰もいない」へ)。
Q7.平成20年に作成された自筆証書遺言と平成18年に作成された公正証書遺言が出てきたのですが、どちらが有効なのですか?
A7.平成20年に作成された自筆証書遺言です。
複数の遺言書が出てきた場合、日付が新しい遺言書が優先されます。自筆証書遺言や公正証書遺言といった種類は関係ありません。ただし、遺言書を比較して遺言内容が重複していない部分については、古い遺言書が有効になります。例えば古い遺言書で「不動産は妻に相続させる。預貯金は長男に相続させる。」とあり、新しい遺言書で「預貯金は長女に相続させる。」とあれば、不動産については古い遺言書が有効になり、預貯金については新しい遺言書が有効になります。
Q8.封がしていない封筒に入った自筆証書遺言が出てきたのですが、この場合でも検認が必要ですか?
A8.必要です。
検認は公正証書遺言以外の遺言書がある場合に必要な手続きです。自筆証書遺言であれば封筒に入っているかどうか、封をしているかどうか等に係わらず検認が必要になります。なお、封印された封筒に入っている遺言書は、検認のときに家庭裁判所で開封するので勝手に開封しないようにしてください。
Q9.兄は30年前に事業を始めるときに被相続人から500万円の援助を受けているのですが、特別受益の金額は援助を受けた当時の金額になるのですか?
A9.相続時の時価に直します。
被相続人から特別な援助を受けた相続人がいる場合、他の相続人との公平性をはかるために特別受益を計算します。特別受益を計算するときの価格は、援助を受けた当時のものではなく相続のときの時価で行います。質問の場合も、相続が発生したときの貨幣価値に直します。具体的にいくらにするのかは、相続人同士で協議して決定します。
Q10.遺産は遺言書がなければ法定相続分どおりに分割しなければいけないのですか?
A10.法定相続分でなくても構いません。
民法では各相続人が相続する割合を定めた法定相続分がありますが、実際の相続では法定相続分にこだわる必要はありません。相続人や遺産の状況等を考慮して、相続人全員が同意できれば自由に遺産分けをすることができます。ただし、審判で遺産分割を決定する場合や相続税などでは、法定相続分が大きく関係してきます。
Q11.遺言書に「子三人にそれぞれ全財産の3分の1ずつ相続させる」と書いているのですが、この場合は誰がどの遺産を相続すればいいのですか?
A11.具体的なことは協議により決定します。
質問の遺言書のように、相続させる遺産を割合で書いている場合があります。これは「包括遺贈」といいます。このような場合、具体的に誰がどの遺産を相続するかについては、受遺者や相続人等の関係する人が全員で協議して決めていきます。また、包括遺贈で指定されている割合は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれているので注意してください。
Q12.相続放棄の手続きをした後で財産があることが分かったのですが、相続することはできますか?
A12.できません。
相続放棄は、手続きをすると一切の財産を相続することはできず、原則として後で取り消すこともできません。取消しが認められるのは、詐欺や脅迫によって相続放棄をしてしまったような場合等に限られます。質問のように後で財産があることを知ったから、という理由で相続放棄を取り消すことは認められません。
Q13.遺産分割協議書は必ず作成しなければいけませんか?
A13.必ず作成というものではありません。
遺産分割協議書は法律で義務づけられた書類ではないので、作成しなくても罰則等があるわけではありません。ただ、遺産分割協議書は預貯金や不動産等の遺産の名義変更等で求められることがあります。また、口約束だけで遺産分割をしてしまうと、あとになって不満や異論が出てくる可能性もあるので、トラブルを防ぐためにも作成することをお勧めします。
Q14.預貯金の相続手続きは窓口に行けばすぐに終わるのですか?
A14.すぐには終わりません。
預貯金の相続手続きは金融機関ごとに違うので一概にはいえませんが、一般的には金融機関で用意している専用の書類に相続人全員が署名押印し、印鑑証明、被相続人の死亡から出生までの戸籍等の書類を添付して提出します。書類を提出しても、金融機関での確認や処理があるので、さらに数日かかります。それなりの手間と時間がかかると考えておいてください。
Q15.不動産の相続手続きに期限はありますか?
A15.ありません。
不動産の名義変更等の相続手続きについては期限はありません。手続きをしないからといって罰則が科されることもありません。ただし、何年も放っておくと相続人の気持ちが変わったり、協議しなければいけない人が増えたりして話がまとまりにくくなる可能性があります。期限がないとはいえ、早めに手続きすることをお勧めします。
Q16.遺産分割について調停を行うときは弁護士に依頼しなければいけませんか?
A16.絶対に依頼しなければいけないというものではありません。
調停は基本的に法的なことを争う場ではなく、第三者である調停員等が相続人間に入って話し合いで問題を解決する場です。調停では相手と顔をつきあわせることはなく、調停委員がいる部屋に交互に入って調停委員から相手方の主張を聞いたり自分の意見を述べるということを繰り返し、最終的に合意を目指します。法的な争いをするわけではないので、必ず弁護士が必要というわけでもありません。
Q17.相続人の中で相続放棄をした人がいる場合、相続税の基礎控除はどうなりますか?
A17.相続放棄をした人も含めた人数で計算します。
相続税の基礎控除は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」によって求めます。この「法定相続人の数」は相続放棄をした相続人も含めた人数になります。ただし養子については、実際に大人数の養子がいても養子以外に実の子がいれば1人まで、養子のみの場合は2人までしか計算に含めることはできません。
Q18.実際に相続する相続財産と、相続税を計算するときの相続財産は違うことがあると聞いたのですが本当ですか?
A18.本当です。
一般的に相続財産というと現金や預貯金、不動産、株式等が思い浮かぶと思いますが、相続税を計算するときの相続財産(相続税の課税対象になる財産)はこれら以外に死亡生命保険金、死亡退職金、被相続人から直近3年以内に贈与された財産などが含まれます。相続税が課税されるかどうか判断するときには、この点も忘れないようにしてください。
Q19.相続税を計算するときの不動産の価格は固定資産の評価額で良いのでしょうか?
A19.いけません。
相続税を計算するときの不動産の価格は、家屋については固定資産の評価額をそのまま使います。ただし、土地については固定資産の評価額をそのまま使うのではなく、「路線価」または「倍率方式」を利用します。これらがいくらになるのかは国税庁のHPで掲載されています。よく分からない場合は税務署に問い合わせてみてください。
Q20.相続財産の合計が基礎控除の範囲内で収まるのですが、この場合でも10ヶ月以内に何か手続きをしなければいけませんか?
A20.何も必要ありません。
相続税で課税される財産が基礎控除の範囲内で収まっていれば、相続税はかからないということになります。この場合、相続税については何も手続きをする必要はありません。ただし、計算してみて財産の額と基礎控除の金額がほとんど変わらないような場合は、念のために一度税理士に相談することをお勧めします。

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