遺言書でできること(相続財産の処分)

遺言書でできることのうち、相続財産の処分に関係することについて

遺言書でできること(財産の処分に関係すること)

相続分の指定及び指定の委託(遺言のみ)

相続分の指定とは、遺言者が相続人の中の一人または複数の者に対して相続する遺産の割合を指定することいいます。指定された割合は、法律で決められた相続の割合(法定相続分)よりも優先されます。

相続分を指定する相手方(「財産の2分の1を長男に相続させる」の長男にあたる者)は、相続人に限られます。「相続財産の○分の1を他人(相続人以外)に相続させる」とする場合は「遺贈」になります。

書き方としては「妻に相続財産の○%を相続させる」「長男に相続財産の○分の1をさせる」といったように、誰にどれだけの割合を相続させるのか明確に記載します。

ただし、相続分の指定によって指定された割合には、財産だけでなく負債も含まれるようになるので注意が必要です。

遺産分割方法の指定及び指定の委託、遺産分割の禁止(遺言のみ)

遺産分割方法の指定とは、遺言者が相続人の中の一人または複数の者に対して「どの遺産を(どのような方法で)どの相続人が相続するのか」、遺産の具体的な分割方法や内容を指定することをいいます。

相続分を指定する相手方は、相続分の指定と同様に相続人に限られます。「不動産を他人(相続人以外)に相続させる」とする場合は「遺贈」になります。

指定の方法は、単純に「妻に不動産を、長男に預貯金を相続させる」とする書き方や、「不動産を売却して現金化し、妻に3分の2、長男と次男にそれぞれ6分の1ずつ相続させる」「不動産は妻が相続し、その代わりに妻は子に対して500万円を支払う」といったように、具体的な処分方法や相続の方法を記載することもできます。

また、遺言者は相続財産を相続開始から5年以内に限って分割を禁止することができます。親族でもめ事が絶えず遺産分割ができそうにない場合や、推定相続人に未成年者がいて自分で判断できるまで待ってやりたいような場合等に活用が考えられます。

遺贈(生前でも可能(贈与))

遺贈とは、遺言者が遺言によって一方的に相続財産を与えることです。

遺言書を作成するときに、相手方から承諾を得る必要はありません。遺言書に「○○に預貯金を遺贈する」というように記載しておくだけです。ただし、遺言書で遺贈された財産を受け取るかどうかは、相手方の判断に委ねられます。

遺贈の相手方については制限がないので、相続人だけでなく第三者や社会福祉法人などの法人に対しても遺贈することができます。

遺贈は、その内容によって「包括遺贈」「特定遺贈」「負担付遺贈」の3種類に分けることができます。

包括遺贈
包括遺贈とは、「Aさんに相続財産の○分の1を遺贈する」「Bさんに相続財産の○%を遺贈する」といった具合に、遺贈する相続財産の割合を指定して行う遺贈のことです。
特定遺贈
特定遺贈とは、「Aさんに不動産の全てを遺贈する」「Bさんに○○銀行○○支店普通口座123456の預金を遺贈する」といった具合に、遺贈する相続財産を具体的に指定して行う遺贈のことです。
負担付遺贈
負担付遺贈とは、「Aさんに不動産を遺贈する。ただし遺された妻の介護をすること」といったように、相続財産を与える代わりに一定の義務を負わせる遺贈のことです。

遺言執行者の指定及び指定の委託(遺言のみ)

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを行う人のことで、遺言書で指定することができます(詳細は「遺言執行者」で)。

遺言執行者は遺言書で指定されるか、家庭裁判所に選任してもらうかのいずれかの方法によって初めてなることができます。「相続人=遺言執行者」ではりません。

遺言書で子の認知や相続人の排除・排除の取消しの記載をしていると、相続手続きのときに必ず遺言執行者が必要になります。

遺言執行者は相続人でもなることができますが、内容によっては第三者を指定した方が良い場合もあります。遺言執行者に指定された人は就任を断ることもできるので、遺言執行者を指定するのであれば事前に了解をとっておいたほうが確実です。

遺留分減殺方法の指定(遺言のみ)

推定相続人に配偶者、子、父母等がいる場合、各相続人には最低限これだけは相続できるという権利「遺留分」があります。これは遺言書であっても奪うことはできません(詳細は「遺留分」で)。

例えば相続人に配偶者と子がいて、「全ての財産を妻に相続させる」という遺言書を作成します。遺言書は有効なのですが、相続のときに子が遺留分の財産を渡せと主張(「遺留分減殺請求」といいます。)すると、配偶者は遺留分に相当する財産を子に渡さなければいけません。

このとき、遺産は自宅と預貯金があり、配偶者は自宅に住み続けたいと希望しているとします。ところが、子が遺留分として自宅を欲しがったらもめる可能性があります。

そこでこのような恐れがある場合、事前に遺言書で遺留分減殺の方法を指定することで対策をします。

最低でも配偶者に不動産を相続させるように遺言書に「遺留分の減殺は、まず預貯金からするものする」と遺留分の減殺方法を指定しておけば、いざ遺留分の請求があったときでも不動産が対象にならないようにする、という具合です。


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