遺言書Q&A
- 遺言書を書く代わりに遺言内容をカセットに録音するかビデオで撮影しようと思うのですが、これらは法的に有効ですか?
- パソコンを使って遺言書を作成し、印刷して署名押印すれば自筆証書遺言として認められますか?
- 母は手が不自由なので、遺言書を書くときに私が手を添えようと思うのですが大丈夫ですか?
- 知人に代筆を頼んで自筆証書遺言を作成しようと思うのですが大丈夫ですか?
- 目や耳、口等が不自由な場合であっても遺言書は作成することができますか?
- 夫婦で一緒に遺言書を作ろうと思うのですが、一つの遺言書に連名で署名押印するのはいいですか?
- 自筆証書遺言を作成したときに1枚の用紙では収まらず2枚になってしまったのですが、契印は必要ですか?
- 以前遺言書を作成したのですが、状況が変わったので内容を変更したいと思っています。どうすればいいですか?
- 遺言書を作成したのですが気が変わり破棄しようと思います。破棄の仕方に決まりはありますか?
- 子と相談しながら遺言書を作成したのですが、後で内容を変更するときには子の承諾がいるのですか?
- 自筆証書遺言と公正証書遺言では法的な効力に違いはあるのですか?
- 公正証書遺言を作成するときの証人は配偶者や子でもいいですか?
- 公正証書遺言を作成したいのですが、病院に入院していて外出することができません。何か方法はありますか?
- 遺言書に「預貯金は妻に相続させる」とだけ書いた場合、預貯金以外の財産はどのような扱いになるのですか?
- 「妻に不動産を相続させる。長男に預貯金を相続させる。」という内容の遺言書を作成したのですが、妻が先に亡くなってしまうとどうなりますか?
- 「長男に○○銀行と△△銀行の預金を相続させる。」という内容の遺言書を作成したのですが、その後で○○銀行の預金を解約するとどうなりますか?
- 遺留分を侵害している遺言書は無効になるのですか?
- 遺言執行者は必ず指定しなければいけないのですか?
- 遺言書の保管はどうすればいいですか?
- 公証役場で自筆証書遺言を保管してもらうことはできませんか?
- Q1.遺言書を書く代わりに遺言内容をカセットに録音するかビデオで撮影しようと思うのですが、これらは法的に有効ですか?
- A1.無効です。
法的に有効な遺言書を遺すときには必ず書面でなければいけません。カセットに録音したものやビデオで撮影したものは、内容がどうであれ法的には無効となります。よって遺言書としては利用できませんが、最後のメッセージとして活用するのであれば特に問題はありません。 - Q2.パソコンを使って遺言書を作成し、印刷して署名押印すれば自筆証書遺言として認められますか?
- A2.認められません。
自筆証書遺言は遺言者本人が全て自署することが要件なので、上記のような遺言書は無効です。パソコンを利用するのであれば、遺言書の原案を作成するときのみとし、最終的には必ず自筆で作成するようにしてください。 - Q3.母は手が不自由なので、遺言書を書くときに私が手を添えようと思うのですが大丈夫ですか?
- A3.大丈夫ではありません。
手を添えた状態で作成された遺言書については、過去に裁判で法的に有効か無効か争われたことがあります。相続のときにトラブルになる可能性があるのでお勧めできません。このような場合は公正証書遺言をお勧めします。 - Q4.知人に代筆を頼んで自筆証書遺言を作成しようと思うのですが大丈夫ですか?
- A4.大丈夫ではありません。
自筆証書遺言は遺言者本人が全て自署することが要件なので、代筆によって作成された遺言書は法的に無効になります。必ず遺言者が全文自筆するようにしてください。 - Q5.目や耳、口等が不自由な場合であっても遺言書は作成することができますか?
- A5.できます。
まず耳や口が不自由な場合であっても、字を書くことができるのであれば自筆証書遺言を作成することができます。また、目が不自由等で字を書くことができない場合でも、公正証書遺言は作成することができます。 - Q6.夫婦で一緒に遺言書を作ろうと思うのですが、一つの遺言書に連名で署名押印するのはいいですか?
- A6.ダメです。
一つの遺言書に複数人が連名することは法律で認められていません。たとえ夫婦で同じような内容になるとしても、それぞれが一通ずつ作成して別々の遺言書にしなければいけません。 - Q7.自筆証書遺言を作成したときに1枚の用紙では収まらず2枚になってしまったのですが、契印は必要ですか?
- A7.絶対ではありません。
遺言書が複数枚になったときの契印(ページとページの間に押印)については、規定がないので「契印がない=無効」とはなりません。一般的には順番どおりに並べて左隅などをホチキスで綴じ、署名押印するときに使用した印鑑で契印を押します。契印は遺言者が複数枚の遺言書を作成したことを明確にすることができるので、押しておいた方がいいでしょう。 - Q8.以前遺言書を作成したのですが、状況が変わったので内容を変更したいと思っています。どうすればいいですか?
- A8.作成した遺言書を訂正するか、撤回するか、破棄して新たに作成し直します。
作成している遺言書によって対応が変わってきます。自筆証書遺言であれば前に作成した遺言書をベースに訂正か一部を撤回、または全部撤回か破棄して一から作成し直します。公正証書遺言であれば、作成した公証役場にその旨を伝え新しく作成し直します。自筆証書遺言の訂正は法的な要件が厳しいので、できれば古い遺言書を破棄して一から作成し直した方が良いでしょう。 - Q9.遺言書を作成したのですが気が変わり破棄しようと思います。破棄の仕方に決まりはありますか?
- A9.特にありません。
遺言書の破棄の方法については特に決まりはありません。一般的には破り捨てる、燃やす等が多いようです。ただし、公正証書遺言の場合は原本が公証役場にあるので、手元にある謄本を破棄しただけでは不十分です。公証役場に連絡をして、遺言書を破棄する旨を伝えて必要な手続きを取ってください。 - Q10.子と相談しながら遺言書を作成したのですが、後で内容を変更するときには子の承諾がいるのですか?
- A10.いりません。
そもそも遺言書は遺言者が単独で作成するものであり、後で内容を変更したり撤回したりすることも遺言者が単独で行います。たとえ遺言書の作成時に子と相談していたとしても、全く関係ありません。今回の場合、子の承諾等は一切必要ありません。 - Q11.自筆証書遺言と公正証書遺言では法的な効力に違いはあるのですか?
- A11.ありません。
自筆証書遺言だから、公正証書遺言だからといって法的な効力に違いはありません。違いがあるのは作成の手順や要件、相続手続きをする時の検認の有無などです。どちらの方式にするのかは、遺言者の人間関係や財産状況等を踏まえて遺言者自身が決定します。当方としては、一般的に公正証書遺言をお勧めします。 - Q12.公正証書遺言を作成するときの証人は配偶者や子でもいいですか?
- A12.ダメです。
公正証書遺言を作成するには二人以上の証人が必要ですが、これには一定の制限があります。まず成人であること、そして相続人になると思われる推定相続人や遺言書によって財産を受けることになる受遺者等は認められません。よって、遺言者の配偶者や子は推定相続人に該当するので証人になることはできません。 - Q13.公正証書遺言を作成したいのですが、病院に入院していて外出することができません。何か方法はありますか?
- A13.公証人に出張してもらうことができます。
遺言者が病院や施設に入っていたり、交通機関の都合で公証役場まで行くことができないときは、有料には鳴りますが公証人が遺言者のいる場所まで出張してくれます。ただし、公正証書遺言の作成には戸籍等の書類が必要になったりするので、専門家に手続きを依頼した方がスムーズに作成できると思います。 - Q14.遺言書に「預貯金は妻に相続させる」とだけ書いた場合、預貯金以外の財産はどのような扱いになるのですか?
- A14.相続のときに相続人全員で協議して相続します。
遺言書で一部の財産についてのみ記載している場合、遺言書に記載されていない財産は相続人全員の協議により誰が何を相続するのか決定していきます。質問の場合だと、預貯金は遺言書によって妻が相続することになりますが、その他に財産については相続人全員で協議することになります。 - Q15.「妻に不動産を相続させる。長男に預貯金を相続させる。」という内容の遺言書を作成したのですが、妻が先に亡くなってしまうとどうなりますか?
- A15.妻についての記載だけが無効になります。
受遺者(遺言書によって財産を貰う人)が遺言者より先に亡くなった場合、遺言書全体が無効になるわけではなく、死亡した受遺者の部分のみが無効になります。質問の場合だと、預貯金は遺言書によって長男が相続しますが、不動産については遺言書の記載が無効となり、相続人全員で協議して相続することになります。 - Q16.「長男に○○銀行と△△銀行の預金を相続させる。」という内容の遺言書を作成したのですが、その後で○○銀行の預金を解約するとどうなりますか?
- A16.処分された財産についての記載を撤回したものとみなされます。
特定の財産を相続させる遺言書を作成したあと、事情が変わり遺言書に記載した財産を処分(不動産の売却、預貯金の解約等)をした場合、遺言書全体が無効になるわけではなく、処分された財産についての記載を撤回したものとみなされます。質問の場合、相続のときに○○銀行の預金についての記載のみを撤回されたものとみなされ、△△銀行の預金についてのみ遺言書によって長男に相続されます。 - Q17.遺留分を侵害している遺言書は無効になるのですか?
- A17.無効にはなりません。
例えば推定相続人として妻、子がいる場合に「全ての財産を妻に相続させる」という遺言書を作成すると、子の遺留分(財産の4分の1)を侵害することになります。この遺言書が遺留分を侵害しているからという理由で法的に無効になるかといえば、無効にはなりません。内容が相続人の遺留分を侵害していたとしても、法的な要件を満たしていれば有効な遺言書です。 - Q18.遺言執行者は必ず指定しなければいけないのですか?
- A18.指定しなくても構いません。
遺言執行者は、遺言書に書かれていることを実現するための手続きを行う人のことですが、遺言書を作成するうえで必ず指定しなければいけないものではありません。ただし、遺言書に「認知」や「相続人の廃除」について書いた場合は、相続のときに必ず遺言執行者が必要になります。この場合遺言書で遺言執行者が指定されていなければ、相続人等が家庭裁判所に「遺言執行者選任の審判」を行うことで遺言執行者が指定されます。 - Q19.遺言書の保管はどうすればいいですか?
- A19.基本的には遺言者が自分で保管します。
遺言書の保管は遺言者自身が行います。ただし、保管場所についても十分に検討しなくてはいけません。遺言者だけしか分からない場所に保管してしまうと、相続のときに相続人が発見できません。逆にある程度相続人が予測できそうな場所に保管すると、遺言者が死亡する前に発見されるおそれがあります。手元で保管するだけでなく、銀行の貸金庫や保管サービスをしている専門家を利用というのも保管方法の一つです。 - Q20.公証役場で自筆証書遺言を保管してもらうことはできませんか?
- A20.できません。
公証役場では、自筆証書遺言を保管するようなサービスは提供していません。自筆証書遺言の場合は、自分で保管場所を確保しなくてはいけません。公正証書遺言であれば、原本が原則20年間公証役場で保管されます。
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