準確定申告

被相続人が1月1日から死亡の日まで得た所得に対する申告手続き

準確定申告

準確定申告は、被相続人(死亡した人)の所得税についての精算を行うための手続きです。被相続人が確定申告が必要ない人であれば、この手続きは必要ありません。

通常の確定申告は、1月から12月までの1年間に得た所得について、次の年の2月16日から3月15日の期間内に所得を得た本人が申告をします。

ところが申告すべき本人が年の途中で死亡してしまうと、1月1日から死亡した日までに所得があっても申告ができません。そこで相続人が被相続人に代わって、1月1日から死亡した日までの所得について申告・納税を行うのが準確定申告です。

一般的に確定申告が必要な人は、次に該当するような人になります。

  • 個人事業(自営業)を行っていた人
  • 給与所得で2,000万円を越えた収入があった人
  • 1つの会社から所得を得ていて、この所得以外に20万円以上の所得があった人
  • 不動産収入(アパートや土地などの賃貸借等)があった人
  • 不動産等の資産を売却した人
  • 生命保険や損害保険の一時金や満期金を受け取った人 
  • 高額な医療費を支払っていて確定申告をすることで所得税の還付を受けられる人

準確定申告が必要かどうか迷ったときには、早めに税務署や税理士に相談するようにしてください。

準確定申告の手続き

準確定申告は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、相続人が申告と納税をしなければいけません。「確定申告=次の年の2月から3月」というイメージがあるかもしれませんが、相続の場合はそうでないことを知っておいてください。

申告者 ・相続人または包括受遺者
・相続人が複数人いる場合は連署で行う
申告先 被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署
※相続人の住所地を管轄する税務署ではないので注意!
必要な書類 ・確定申告書  (税務署にあります)
・確定申告書の付表  (税務署にあります)
・給与や年金の源泉徴収票
医療費控除のための領収書
・生命保険や損害保険の控除証明書
※場合によっては、この他にも書類を要求されることもある
医療費控除

医療費控除については、支払いをした時期や支払いをした人によって扱いが違ってきますが、ここでは基本的な考え方をご紹介します。

  • 相続の開始前までに支払われた被相続人の医療費
    → 準確定申告のときの医療費控除の対象になる
  • 相続の開始後に支払われた被相続人の医療費
    → 医療費を負担した人が確定申告をするときの医療費控除の対象になる

また、医療費控除の対象となるものは、主に以下のものがあります。

  • 医師や歯科医師による診療や治療の費用
  • 治療や療養に必要な医薬品を購入した費用(処方箋をもらわずに自分で薬局で購入した費用も含まれますが、ビタミン剤や栄養ドリンク等は含まれません。)
  • 保健師、看護師、准看護師などによる療養上の世話の対価(家族や親類に世話を依頼してその対価を支払っているような場合は含まれません。)
  • 医師等の診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの(ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれません。)
  • 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な義手、義足、松葉杖、義歯などの購入費用

実際には判断に迷うことも多いと思います。
まずは「いつ」「どこに」「何の費用として」「誰が負担したのか」を領収書等を見ながら順番に整理し、その上で税務署や税理士に相談されることをお勧めします。

準確定申告のポイント

上記に書いていることのほか、ポイントとして以下のようなものがあります。

  • 社会保険料、生命保険料、損害保険料の控除の対象となるものは、医療費控除と同様に被相続人が死亡したときまでに支払ったものまでです。死亡後に支払ったものは、準確定申告の対象にはなりません。
  • 被相続人が消費税の納税義務者だった場合、消費税の申告も併せて行う必要があります。
  • 被相続人が個人事業主で、その事業を相続人が引き継ぐ場合、準確定申告とは別に届出等が必要になるので注意してください。
  • 被相続人の給与や年金が源泉徴収をされていた場合、準確定申告をすることで税金の還付を受けることができる場合があります。

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準確定申告はあまり知られておらず期限も短いことから忘れてしまいがちです。手続きに迷ったときは早めに遺言相続支援センターへご相談ください。