遺言書の有無の確認

相続手続きにおいて遺言書の有無の確認と検認

遺言書の有無の確認

遺言書は、その内容によって相続手続きに大きな影響を及ぼすことがあります。

よって、相続手続きではまず遺言書があるのかどうか、被相続人(死亡した人)が隠していそうな場所を徹底的に確認することが必要です。遺言書の保管場所としては、主に次のような場所が考えられます。

・金庫の中  ・神棚や仏壇の周り  ・郵便物や書類などを保管しているところ
・机の引き出しやファイルの中   ・本棚やお気に入りの本の間  など

また、人によっては自分の手元で保管せず銀行の貸金庫や知人、知り合いの弁護士や税理士、行政書士などの専門家に預けている場合も考えられます。手元にないからと安心するのではなく、可能性があるところは徹底的に調べてみてください。

調べた結果、遺言書がなければ以下のことは関係ないので「相続人の調査・確定」に進みます。

遺言書を発見したとき

遺言書を発見したときは、まず発見した遺言書がどの種類に該当するのか確認します。一般的に作成される遺言書としては以下の三つの種類があります。

  • 自筆証書遺言
    被相続人が自筆(手書き)で書いた遺言書。封筒に入れていることが多い。封筒には封印をしていることもよくあります。
  • 公正証書遺言
    被相続人が公証役場を通じて作成した遺言書。公正証書遺言には末尾に遺言者、公証人、二人以上の証人の署名があります。
  • 秘密証書遺言
    被相続人が本文を作成して封筒に入れ封印し、公証役場で公証人、二人以上の証人の署名をしてもらう遺言書。

この中でよく作成されるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」で、「秘密証書遺言」が利用されることはあまりありません。

発見した遺言書が公正証書遺言以外の遺言書(一般的には自筆証書遺言か秘密証書遺言)の場合、次の「検認」という手続きが必要になります。

遺言書が封筒に入っていて、その封筒に封印がされている場合は開けないようにしてください。開封は「検認」の手続きのときに家庭裁判所で行います。

検認前に開封したとしても検認は必要ですが、5万円以下の「過料」に処せられてしまうので注意してください。

遺言書の検認

検認は、相続のときに公正証書遺言以外の遺言書があるときに必要な手続きで、次のような役割があります。

  • 相続人全員に遺言書の存在と内容を知らせる
  • 検認のときの遺言書の状態(加除修正の状況など)を確認して保存

検認の申立は、遺言書を発見した人や遺言書を保管していた人が、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ行います。

例えば、私の高松の事務所(管轄は高松家庭裁判所)で丸亀市の人(管轄は丸亀家庭裁判所)の遺言書を預かって保管していたとします。この人が亡くなったとき、遺言書の検認を申し立てるのは、高松家庭裁判所ではなく丸亀家庭裁判所になります。

申立人 ・遺言書の保管者、遺言書を発見した相続人など
申立先 遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
裁判所の管轄区域(裁判所HPより)
必要な費用 ・遺言書(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円
・連絡用の郵便切手
必要な書類 ・遺言書
・申立書(記載例(裁判所HPより)) … 1通
・申立人、相続人全員の戸籍謄本 … 各1通
・遺言者の出生から死亡までの戸籍 … 各1通

検認が申し立てられると、家庭裁判所から相続人全員に検認の日が通知されます。検認に立ち会うかどうかは任意ですので、各相続人がそれぞれ自分の意志で決めます。

検認当日、提出された遺言書を出席した相続人全員に閲覧してもらい、検認時の遺言書の状態の確認が行われます。検認が終了すると、遺言書に「検認済証明書」が添付され申立人に返却されます。

検認に立ち会わなかった相続人や利害関係人(遺言書で遺贈を受ける人など)には、後日「検認済通知書」が郵送されます。

遺言書の有効無効について

せっかく遺言書が発見されても、遺言書の書き方が怪しかったり、遺言書が何通も出てきてどれが本当の遺言書なのか分からなかったりして、法的に有効か無効か判断に迷うことがあります。

ですが、検認では有効無効の判断は行いません。
検認はあくまでも遺言書の存在を相続人等に知らせたり、検認時の状態を確認するためのものです。

遺言書の有効無効については、検認とは別に訴訟などの手続きをして裁判所に判断してもらう必要があります。


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相続手続きにおいて遺言書の有無は必ず確認しておかなければいけません。検認の手続きや遺言書が法的に有効かどうかの判断で迷ったときは、遺言相続支援センターへご相談ください。