遺言書を作成できる人

遺言書を作成できる人の要件や成年被後見人等が遺言書を作成するときのポイント

遺言書を作成できる人

遺言書を作成できる人の要件は、民法によって次のように規定されています。

  • 遺言書を作成するときに満15歳以上であること
  • 遺言書を作成するときに意志能力があること

この二つの要件を満たさずに作成された遺言書は【無効】になります。

『意志能力』とは、自分自身で物事を考え、判断し、その結果を認識できる能力のことです。

実際の相続では、遺言者の年齢で問題になることはほとんどないのですが、意志能力の有無について争いになることがあります。考えられるケースとしては、遺言書の内容が一部の相続人にだけメリットがあり、相続人同士が遠方で生活をしているような場合です。

まず、相続人がそれぞれ遠方で生活していると、日頃から意思疎通ができないので、お互いの状況や考えが把握できません。そのようなときに、特定の相続人だけに有利な遺言書が出てくると、他の相続人は納得がいかない、ということがあります。

不満がある相続人は「遺言者の意志能力がないときに、相続人にそそのかされて書かされたのではないか」と疑い、結果、相続争いになってしまうのです。

成年後見制度と遺言書

まず成年後見制度について簡単に説明します。

成年後見制度は、認知症や精神障害、知的障害などで判断能力をが不十分な人の財産や権利を保護するための制度です。

この制度を利用するためには、家庭裁判所へ申立を行い、保護すべき人(被後見人)の状況にあった後見人を家庭裁判所が選任します。被後見人には、症状によって三つの種類があります。選任された後見人は、本人に代わって契約などの法律行為を行います。

種類 概要
被補助人 精神上の障害により判断能力が不十分な者で、家庭裁判所から補助開始の審判を受けた人のこと
被補佐人 精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者で、家庭裁判所から補佐開始の審判を受けた人のこと
成年被後見人 精神上の障害により判断能力を欠く常況にある(常に本人では判断することが出来ない)者で、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた人のこと

※詳細は「成年後見制度〜成年後見登記制度〜」(民事局HP)を参照

通常、被補助人や被補佐人、成年被後見人の審判を受けた人は、一定の法律行為(売買契約等)をしようとするときには後見人(補助人や補佐人、成年後見人)の同意が必要になります。

遺言書の作成も法律行為の一つですが、次のような扱いになります。

  • 被補助人、被補佐人
    それぞれ一人で遺言書を作成することが可能。補助人や補佐人の同意は必要ない。
  • 成年被後見人
    意志能力が回復しているときに二人以上の医師が立会することで遺言書を作成することが可能。成年後見人の同意は不要。立会した医師は、言書作成時に遺言者が意志能力が回復していた旨を遺言書に付記し署名押印する。

認知症(痴呆症)や精神障害になっていて成年後見制度を利用していない人については、症状がそれぞれ違うので一概には言えませんが「成年後見制度を利用してない=意志能力がある」ではないので注意が必要です。

遺言者が死亡して、遺言書作成時の意志能力の有無で争いになると証明が非常に難しく、争いが長期化してしまうおそれがあります。

認知症等の診断を受けている人やそのおそれがある人、成年後見制度の適用を受けている人が遺言書を作成しようとするときは、できるだけ事前に医師に診断書などを出してもらい、遺言書作成時に意思能力があったことを証明できるようにしてください。


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